先日開催された RubyKaigi2010 の中で日本 Ruby の会の会という企画があり、「RubyKaigi2010 レポート班1がすごい。レポート班の裏側を紹介しない?」という話が出ていました。
レポート班がすばらしかったのはるびま読者の方ならきっとご存知のとおりです。でも実はご存知ではないかもしれないところにもすてきなところが多いのが RubyKaigi2010 なのです。そこで、RubyKaigi2010 チームにはどんな役割の人がいて、どんなことをしていたのか、どんな思いでやっていたのかを少しでも紹介してみようという試みで チームメンバーに自己紹介をしてもらいました。
次回の RubyKaigi のテーマは「最後の RubyKaigi」です。「最後」を考える前に 2010 年の RubyKaigi がどんな風にできあがっていたかの裏側をのぞいてみるのもおもしろいかもしれません。
記入は RubyKaigi2010 チームへ ML でお願いし、このようなお題を出しています。
RubyKaigi2010 チーム最後の本気が詰まっていて、各者各様の答えになってます。極力、原文の口調を残していますので、RubyKaigi2010 へ行かれた方はどのスタッフが書いたのかを想像しながら読んでみるのも味わい深いかもしれません。RubyKaigi2010 チームメンバーの完全なリストは公式サイトにありますので、あわせてご覧ください。
一番大きな全体設計というか、指針を決める役割と、何か問題 (トラブル) があったときにエスカレーションされる最後の人という役割があります。
大きく 4 つあります。RubyKaigi のテーマを決めること、開催趣意書をかくこと、誰も判断つかないようなことがあれば判断すること、誰も手を出せてない (出せない) ことがあれば拾って何とかすること、です。
実はあまりありません。あいさつをしたり、エスカレーションされてきた問題 (トラブル) について判断をして、指示を出したりお詫びをしたり自分で何かしたりします。
今年起きた突発的な事態としては、話の流れで RubyGems 会議をしよう、とまつもとさんに言われたので、その場所の確保と準備をしたり、ジュンク堂への人の流れが芳しくないということだったので、その対応策としてトークセッションを企画・開催したりしました。2
とにかく最終的にはすべて自分で決められること、でしょうか。「俺が RubyKaigi だ」感にあふれた日々を満喫できます。
とにかく最終的には自分で何とかしないといけないこと、でしょうか。大きな事故が起きたり怪我人等が出ていないことは大変ありがたいことです。
RubyKaigi の会期を始められるようにするために必要な段取りをつけて、チームのみんなに作業をお願いしたり調整するのがひとつ。
もうひとつは、会期中のチーム運営。会期のはじめに当日スタッフと実行委員を含めたひとつの「RubyKaigi20xx 運営チーム」のチームビルディングをして、実際に RubyKaigi をチームで運営して、会期を終えたら一期一会のチームを解散させること。
それから、会期後の残務も含めて RubyKaigi をほんとうに終わらせること。
事前準備としては、実行委員長やプログラム委員長から「今年は RubyKaigi やれそうですか?」と訊かれたときに「はい」と答えられるようにする係。チームのみんなにお願いしたり、誰も拾えなかった作業を拾います。
心がまえとしては、寄い合い所帯の「おまえら」の一期一会の集まりを「ぼくらはひとつのチームなんだ」と信じつづけること。会場に朝早く着いたことのある参加者の方なら見たことあるかもしれませんが、会期中は毎朝、愚直に運営チームを全員を集めて「朝会」と呼んでいるスタンドアップミーティングをして、そのときどきで何を考えているのかをチームのみんなの顔を見ながら話してます。
会期中に具体的な実務はいまはほとんどサブチームのみんなにお任せしています。じゃあ何をしているのかというと、つつがなく RubyKaigi が進行しているかをひたすら気にしつつ、例外事項が発生したときに判断を下します。時には自分では判断しきれない事案が発生することもあるのですが、そうしたときはプログラム委員長や実行委員長にエスカレーションします。
RubyKaigi の準備の始まりには、テーマと開催趣意書しかありません。この2つを、実際のイベントとして実装していく過程そのものが楽しいですし、会期前にみなさんが「楽しみだ」と言ってくれることも楽しいですし、会期中にみなさんが「楽しい」って言ってくれることも楽しみですし、終わったあとに「楽しかった」と言ってくれることが楽しいです。
2つあります。1つめは、進行が気になってセッションを集中して聞けないので、みなさんの RubyKaigi の話題についていけないこと。なので、動画やレポート (ありがとうKaigiFreaks!) 、参加されたみなさんのブログ記事をいつも頼りにしております。
2つめは、会期終も残務がけっこうあるのですが、会期を終えると一気にテンションが下がるのでこれがなかなか片付かない、けど片付けないといけないこと (RubyKaigi2010 もそういう意味ではまだ終わってません……) 。
プログラムに文句が出たりしたときに謝る役割です.
何もしません.ただ,プログラム中に何か問題があれば謝ります.幸い,まだ謝ったことはありません.
応募の印刷は MS Word を利用する (Excel を DB にしての差し込み印刷) ので,MS Word の練習になります.
とくにありません.
講演が行われるホール ( 2010 では大ホールと中ホールの 2 箇所) の仕切りを行う仕事です。「番長」と呼ばれるリーダと、数名のスタッフから構成されます。
基本的にホールで行われることに関しては、すべて番長に一任されています。このため、同じ RubyKaigi であってもホールによってその運営はまちまちだったりします。
主な仕事は、司会や講演者のサポート (マイク準備やプレゼン用マシンの接続など) 、質問者へのマイク運びです。その他にも、休憩時間に各種アナウンスや BGM を流したり、スクリーンへの各種情報をコントロールしたり、IRC や Twitter を監視してホールの気温を調整することまで含まれます。
講演がスケジュールどおり順調に流れていれば、けっこうまったり過ごしています。しかし、ひとたびトラブルが発生すると、スケジュールを維持しながら解決の知恵を絞ってすばやく動かなくてはいけません。よくあるのが、講演者の話が長すぎて時間が足らなくなることで、いい感じに話を切り上げてもらわなくてはいけません。過去には、マシントラブルで講演順序を急遽入れ替えたり、次のセッションの講演者を探しまわったり (!) というようなこともありました。
講演をしっかり聴けるのはいいですね。ステージの上やすぐ横で、著名な Rubyist を間近に見られるし、かわいいドラ娘とお話できたりもします。
やはりトラブルが発生すると焦ります。場合によっては数百人を待たせてしまうわけですから、ちょっとしたプレッシャーです。
会場外の人も RubyKaigi を楽しめるように、あるいは資料として利用できるように、発表を録画したり、配信します。
会期前は、機材の調達、システム構成の設計、運用の設計などを行います。配信用のページを作成するのも私たちの仕事です。また、音声信号については会場の機器とのやり取りが発生するので、その調整も行います。会場入り後は録画配信用のネットワークを準備し、録画と配信に必要な機材を設置、接続します。
録画については、セッションの開始、終了にあわせて録画を開始したり停止したりします。今年はエンコード、アップロードまで会期中にしてしまいました。配信については、音声や映像が適切に配信されているかモニターしています。視聴者からのフィードバックもチェックし、調整が必要な場合は行います。
会場最前列、最も良い場所でひたすら発表を聞くことができます。また、会場外から画質や音質についてお褒めの言葉を頂けたり、会場の内外でやり取りがおこるととても嬉しいですね。
録画配信に関しては、発表中は必ず誰かがついて見ていなければいけないので、参加したいセッションに参加できない可能性があります。また、一度きりの発表をできるだけ漏らさず録画、配信しなければならないので、緊張感のあるお仕事です。
発表者、参加者の皆さん、録画配信班にインターネット接続を提供します。
会期前は会場と相談しながら無線アクセスポイントの設置数、位置を決定します。ネットワークの配線経路を検討し、必要なケーブル長を計算したり、必要な機材を調達したりします。
祈りながら状況をうかがっています。会場の方と相談しながら状況を改善するために少しでも出来ることは無いかを検討しつづけています。ネットワーク譲り合ってご利用いただけるようお願いを続けたりもします。
安定したネットワーク接続を提供できているとそれだけで幸せなのですが、ここ 2 年は負け続けているので辛いところです。
安定したインターネット接続を多数の参加者に提供するのは技術的にも難しい部分が多く、また、事前のリハーサルが困難なのも悩ましいところです。皆さんの「ネット全然つながらない」という声を心痛めながら受け止めています。
KaigiFreaks として RubyKaigi に参加されてる方だけではなく、都合により参加できない方たちにも RubyKaigi の魅力・楽しさをお伝えします。
名前の通り「レポート」を書きます。RubyKaigi2010 では直前特集号として、RubyKaigi2010 の見所やセッションの概要などをるびまの上で週刊連載でお届けしました。今年は参加者のしおりとして、参加者への諸注意を伝える役割も果しました。メインとしては会期中の「当日レポート」があります。RubyKaigi2010 の発表を直接聞き、なるべく早くレポートをまとめ gihyo.jp 上で公開します。
会期中は、各担当の発表を直接聞きに行き、空き時間などを使いレポートにまとめ逐次公開していきます。当日レポートなのでなるべく早く公開することももちろんですが、文章の読み易さ、内容の正しさなどにも気をつけるようにしています。
レポート班は当日スタッフでありながら、発表を聞ける立場にあるので楽しく発表を聞くことができました。また、直前特集号や当日レポートを読んでくれた方から褒めて頂けるととてもうれしいです。
レポートを担当するにあたって、発表について事前の予習を行うのも、レポート班ならではです。開催直前には「この発表を聞くのが本当に楽しみだ!」といった会話が、メンバー間に溢れていました。レポート班は、誰よりも RubyKaigi を心待ちにできる仕事と呼べるかもしれません。
発表は英語の発表もあるので、その点でとても苦労しました。また、技術的に難しい話だったりすると自分の理解が追いつかずなかなかレポートとしてまとめられないと言うこともあったりします。事前特集号も当日レポートもそれぞれ締め切りが当然あるのですが、その点も結構大変でした。特に当日レポートはスタッフ宿に戻ってからもレポートの続きを書くということをしたりしていました。
ディレクション、制作、制作補助の 3 役です。
主にメインデザインの制作、ノベルティグッズの発注、Webサイトの管理等を行います。その他、フロアマップの制作や写真撮影、各種印刷においては、他チームのみなさんに協力してもらったりしています。
デザインチームが会期中に行う作業は少ないのですが、メインホールのスクリーンや音響、Webサイトの更新などです。
フィードバックをたくさんもらえることがうれしいです。みなさんがノベルティグッズを持ってくれている景色をみるのもうれしいです。
盛り込むコンテンツやノベルティの発注数が決まらず、着手が遅れたりすると慌てます。それでもステキなものが仕上がってくると、大変だった事も全ていい思い出になります :)
懇親会幹事です。
懇親会の調整をしたり、余興を考えたりします。
懇親会場の人と調整をしたり、スポンサーや出版社の方から懇親会余興景品のご提供をいただく仕事をします。
スタッフも含めたみなさんが楽しんでいただけることが何よりも楽しいです。
毎日飲まないといけません。鉄の肝臓が必要です。
飲み物とコップ、飴の発注のみ。あとは皆さんよろしく!のスタンス。だって、自由だし。
こっそりネタを仕込むこと。塩飴とブドウ糖はそこそこ反応がよくて (≠好評) よかった。
数量の見積もり。今年は夏だったこともあって、予定の 1.5 倍の速度で消費されたので、慌てて追加購入やリサイクルのお願いをしました。あと、外国人がいっぱい来るイベントでは水が重要ですね。勉強になりました。
「RubyKaigi の参加者さん同士の交流を促進すること」を目的とするお仕事です。今年から名前が付きました。
今年は「会場設計」「Web 連携」「ツール活用」に取り組みました。
「会場設計」では、会場全体の導線の設計をしたり、コミュニケーションのきっかけとなりそうなものを会場内のあちこちに仕掛けました。RubyKaigi2009 で好評だった「Where are you from?」の地図や「好きなメソッド、言語は?」のポストイットや、歴代 RubyKaigi のノベルティの展示パネルを用意したりしました。「書道」のコーナーでは、誰かが書いた内容に他の誰かがコメントするなど、まさにコミュニケーションが生まれていました。
「Web 連携」では、RubyKaigi に関する Twitter の発言をホールのスクリーンや会場の TV 画面に映し、参加者の声を可視化しました。また、位置情報サービスの Foursquare には RubyKaigi2010 の会場を登録し、どんな人が RubyKaigi2010 に足を運んでいるのかを分かるようにしました。「ツール活用」では、これまでも活用してきた IRC のチャンネル設定などを行いました。
用意したものの運用を行います。会場を見て、意図したようにコミュニケーションが生まれているか、気にかけます。上手く活きていないものには手を入れて、改善を計ります。
がんばればがんばった分だけ、嬉しいことが返ってくるお仕事です。事前に想像した通りに、または想像以上に、参加者さんが場に馴染んで、コミュニケーションが活性化している様子に出会えたときは、本当に嬉しいです。
他のチームとの連携が発生することが多く、上手に進めようと思うとなかなか大変です。ですが、これも「他のチームの人と連携して作業できる」と思えばとても楽しくて、やりがいのあるお仕事です。
RubyKaigi2010 チーム。RubyKaigi2010 を開催したり、無事終わらせたり、自分たちも楽しんだりする人たち。アンケートに寄せられるコメントを読んで涙する人もいるらしいというのは内緒。
るびまでも渾身と疲労困憊の直前特集号を書いてくれました。 ↩
トークセッションはほとんどその場のアナウンスだけで開催されたにも関わらず、大盛況でした。 ↩
この名前は、 RubyKaigi2009 にオーストラリアから参加した Ben Schwartz の “RubyKaigi, a western perspective” という記事の “LEONARD CHIN was a superstar” に由来します。 ↩